モラルとマナーの間

2020年8月9日

貝柄山公園の秘密基地で遊んでました。鎌ヶ谷はいつまでもカブトムシの捕れる街であって欲しい。中村耕の助

鎌ケ谷で生まれ育った中村さん。現在は教員になるため大学に通っていて、今回の取材も教員採用試験が行われた直後に受けていただいた。教員を目指したきっかけは鎌ケ谷中学校に通っていた頃だという。 「担任の先生が優しくて、それに憧れたというのが一つ大きな理由です。ただもう一つが自分の中で結構大きくて。校則や学校独自のルールに理不尽さを感じたからなんです。例えば、自分は地毛が茶色ぽいんですが、ある日教員から黒く染めてこいと怒られました。地毛だと説明しても反抗的だと捉えられるだけでした。他にも、腕まくり禁止っていうルールがあって、なんのためのルールか尋ねても先生はまともに答えてくれませんでした。先生自身が理由を説明できないルールを子どもに押し付けることに納得できませんでした。

 また、自分はおかしい!と主張できる性格でしたが、それができなくて苦しんでいる人も周りにいたと思うんです。意味のないルールを設けて子どもを縛る必要はない。自分が大人になったら、もっと子どもを伸び伸びと育てる先生になりたいと思ったんです。」 近頃ニュースにも取り上げられる理不尽な校則。生徒時代にその息苦しさを感じた中村さん、子どもを縛るルールは、マナーやモラルをもとにし、少なくとも説明できるだけの理由が必要だという。また、この目標を達成するためには、現在目指している教員という立場だけでは足りないとも考えているそうだ。 「教員として現場を知った後は、教育委員会や文部科学省など、現場のルール作りをする人間になりたいと思っています。先ほどお話ししたルール作りの他に、評価制度なども作れたらなと。今は確固たる評価制度がないと思うので、先生もモチベーションが保ちづらいでしょうし、問題のある先生がいても放置されてしまいます。こういった部分を整備していくことが自由で質の高い教育を生み出すと考えています」まだまだ夢の段階で、具体的には何も決まってないんですが…と照れながら話してくれた中村さん。自分の手の届く範囲だけでなく、教育現場全体を変えたいという大きな夢が小さな鎌ケ谷から始まったばかりだ。最後に、千葉県の教員採用試験を受けた中村さんに、今後も鎌ケ谷に住み続けたいか尋ねた。「千葉にとどまることにはなると思いますが、鎌ケ谷に住み続けたいかというと、そうでもないです。もちろん育った街なので鎌ケ谷は大好きです。自然もあって、かといって田舎過ぎないので暮らしに不便もありません。でも、鎌ケ谷でなければならないという強烈な理由はないかなと。なので、これからはそういう鎌ケ谷ならではの魅力をつくってほしいと思います。」育った街として愛着はあるが、住み続けたいというポジティブな理由はない。これは多くの若者に共通しているのかもしれない。鎌ケ谷で育った人がいつまでも鎌ケ谷に住んでくれる、もしくは家庭を持ったときに鎌ケ谷に戻ってきてくれる。そうした理由づくりをしていかなければならない。中村さんが話してくれた、緑があって、利便性もある。そんな鎌ケ谷の良さが今後の街づくりにおいても重要になってくるのかもしれない。